クリエイティブな仕事で GTD は通用するか?
Vox Pop: Implementing GTD for Creative Work? | 43folders
私は「科学者」という、説明しにくい肩書きを仕事にしているのですが、仕事の実情は、どこか小説家のそれに似ているのではないかといつも思っています。
科学者の仕事は、隠れているものを論理的に明らかにしてゆくことです。時には想像力をたくましくして、仮定、実験、解析、結論へと流れる論理の鎖を、一つずつつ綿密につないでゆくことが求められます。しかもその結果を数十ページの英語論文にしないといけないのですから、科学者という言葉が喚起するイメージ以上よりはむしろ、小説家や、演奏家や、シンガーソングライター似ているところがあるよなあ…と思うのですが、この話をしても同業者はあまり同意してくれません。
クリエイティブな仕事は、ある程度「霊感」に依存しているところがあります。ウェブデザインをしているのであれ、作曲や文芸活動であれ、「あ、きた!」という、あの感覚です。
こうした創造的な仕事に GTD をとりいれるにはどうすればいいのか、というのがずっと疑問であり、調べ続けていたことなのですが、そのものずばりの記事が 43Folders に載っていました。
Merlin はここで Creative Pro の記事を題材に、「クリエイティブな仕事にどのようにして GTD を組み入れる?」と疑問を投げかけています。読者の反応は非常に参考になります。
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邪魔が入らない、クリエイティブなテンションを高く維持できる時間をファイアーウォールして守っておくべきだ。自分はこれを @creative というコンテキストで実現している
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ユビキタス・キャプチャーは絶対にするべき。アイディアはいつやってくるかわからない。
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インプットマネージメントが必要。いまやっているプロジェクトに関連しそうな文献、イメージを集中的に摂取するタスクをいれるべき。
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クリエイティブな仕事でも、定型パターンがある。このパターンに即してタスクを分割して GTD にあてはめればいい。
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クリエイティブな才能はディテールに発揮されるので、タスク分割のしかたも、おおざっぱな設計からディテールへと向かうようにして、それらに相応した時間を配分するのがいい。
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improvisation (アドリブ)も重要。
一見、これらのアドバイスが GTD とどのように対応するのか明確ではありませんが、よくよく考えると素晴らしいものばかりです。
まとめますと、これらのアドバイスは、クリエイティブな仕事のワークフローを「情報吸収」「情報の消化」「発想」の3つに分けたうえで、それがどの順序でやってきてもいいように GTD のバケツを用意して霊感がやってきた瞬間にキャプチャーせよ、ということを言っているように思います。
また、アドリブ的な要素や、関係したイメージに自分を浸しきることで生まれてくる共感作用も、時間を区切って戦略的に使うことで、クリエイティブな発想の時間と地道な制作の時間とをマネージメントしてゆこうという意志が見られます。
私自身の経験でもそうでしたが、「溜めている時期」と「吐き出す時期」の2種類のコンテキストを作り、それぞれで next action を作ってゆくのがよさそうです。あと、ユビキタス・キャプチャーはやはり絶対です。それについてはこの記事でも書かせていただきました。
43Folders の読者の反応には、他にもカードを使った演劇制作について、ウェブデザイナーたちの生の声などがたくさんありますので、ぜひご覧ください。
(update: ちょっと語句の重複を削除。眠いとクリエイティブな力も弱くなるようで…)