GTD アプリの最前線、OmniFocus α版を試してみました

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今日 OmniGroup からメールがあって、現在開発中の GTD 専用アプリ、OmniFocus のα版を使わせてもらえることになりました。使ってみた印象ですが….いいです。とてもいい感じのアプリになり始めています。これからの開発の進展によっては、iGTD を超えるソフトになる可能性が十分にあると感じました。。

開発者の Ethan Schoonover はOmniFocus の紹介ビデオでこのアプリの特徴を、1) 見えない足場 (invisible scaffold) のように機能する、2) ニーズに合わせて伸縮自在に使える、3) 目ただないタイトな UI、としていましたが、使ってみると非常に納得がいきました。

  • プロジェクトをタイプしているときに自動補完してくれたり、デフォルトのコンテキストを定義できるのは非常に便利。入力の繰り返しが少なくなって、スピーディーな使用感があります。

  • ショートカットキーでタスクを追加できる QuickEntry が、決して忘れることのない第二の脳にタスクを投げ込んでいるような爽快感があります。欧米の方は Quicksilver + iGTD で同じことをできるのかもしれませんが、Quicksilver の日本語対応がいまいちですので、これは重宝しそう。

  • タスクが多くなってきたときに、フォルダで整理したり、コンテキストを重層化できるのも思いのほか便利。たとえば「職場」のなかに「研究室」、「事務室」、「会議室」といったコンテキストを作って、それぞれの場所でやることを仕切れるわけです。

  • iGTD に比べ UI がこじんまりと作ってあり、使っていない部分が存在しないように設計されている

  • タスクを入力するビューと、実際にコンテキスト別に仕事を行うときのビューとが明確に分離されていて、GTD を常に意識しつつ仕事ができるように設計されている

最後の点が、私にとっては非常に重要です。GTD アプリだというからには、アプリケーション自体が目立っていてはしかたがありません。GTD にかまけるあまり仕事が進まなくなっても本末転倒だからです。理想的な GTD アプリは静かに「次のアクション」を常に指し示しつつ、ユーザーが頭で記憶していたくないプロジェクトやタスクを次々と飲み込んで、自動的にコンテキスト別に表示してゆくことが求められます。

OmniFocus はアプリとしては目ただないくせに、GTD という思考の枠組みを堅苦しくない形でユーザーに提供するという難しい芸当に成功している例だといえそうです。

日本のユーザーとして気になるのは日本語環境だと思いますが。当面のところ OmniGroup の他の製品同様、日本語の入力・検索などはまったく問題がありません。日本語のプロジェクト名・コンテキスト名でも、ちゃんと入力時に補完してくれます。

まだまだ開発中のアプリですので、ショートカットが不十分、UI の調整ができない、ときどきタスクがどこかに消えてしまうなどのバグが無数にあります。これから毎日の nightly をダウンロードできますので、何か大きな進展がありましたら、またここで紹介することにします。

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開発中の OmniFocus はベータ版のメーリングリストに登録した人に順番に提供しているようです。いち早くふれてみたいというかたは、ぜひ登録を。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。