ウェブ編集のワークフローを統合したアプリ "Coda" 登場
Mac OS X の便利な ftp ソフト、Transmit を開発した Panic から、ウェブ編集のワークフローを一つのアプリにまとめた “Coda” が発表されました。
Transmit は私も愛用していますが、最も使いやすいのは接続先のドキュメントを任意のエディタで直接編集できる機能でした。Coda はこの非常に使われる用途をさらに拡張して、ウェブ編集のワークフローを複数のアプリを介さずにできるようにしたソフトです。いってみれば、HTML / CSS エディタ、ＦＴＰ ソフト、ターミナル、ウェブブラウザのマッシュアップのようなソフトです。
エディタ + FTP + ターミナル + マニュアル
ウェブ編集をしていると 「CSS のこのクラスだけをちょっとさわりたい」、「さっきの編集の結果をプレビューしたい」、「ちょっとターミナルを開いて ssh であのファイルをさわりたい」といった複数のアプリをまたいだ仕事がたくさん平行して生じます。
こうした仕事を統合するウェブ編集ソフトもたくさんありますが、えてしてエディタとしても不十分だったり、プレビューも不十分だったりして、各コンポーネントの最小公約数程度にしか便利ではなくて、結局別アプリを開いたりすることが多いのが今までの印象でした。
Coda は小さなアプリケーションでありながら、エディタには SubEthaEdit で評価の高い SubEtha Engine を統合し、FTP クライアントはすでに実績のある Transmit の機能をそのまま結合させ、プレビューには Safari と同等の機能を提供する WebKit を使うことによって、こうした限界を乗り越えられるように設計されています。SubEtha Engine を使っているということは、あのリアルタイムでの文章共有も可能なわけで、複数の人で同時に編集したりして、結果を統合してゆくことも可能です。
あと、一部の人しか使わないかもしれませんが、ターミナルが入っているのは個人的に非常にうれしい。このブログをホストしている TextDrive は ssh ログインを許可してくれていますので、いろいろといじくることが多かったのですが、わざわざターミナルを開く必要がなくなります。
ちょっと使ってみたインプレッションをいくつか。
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**ウィンドウを縦横方向に自在に開くことができる： **
DreamWeaver などは伝統的な３つのウィンドウの分割に比べてずっと自由度があり、自分のすきなようにワークスペースを作っていけるのは非常に自由な感覚があります。 -
強力な検索・置換に加えて正規表現が使える：
UNIX ギークとして正規表現で文書を一気に置換できるのはうれしいです。地味ですが、かゆいところに手が届く機能ですね。 -
**CSS エディタが GUI とエディタの両方でできる： **
どちらかが得意というソフトは多いのですが、両方とも使いやすいのは Coda に搭載されている SubEtha Engine のおかげ。GUI は非常に詳細なところまで直感的に設定できますし、エディタではクラス・ID ビューワで、混乱しそうな CSS の構造にすばやく目を通すことができます。
ちょっとしたバグかもしれませんが、エンコーディングの違う文書をダブルクリックでダウンロードしようとしても反応がないという挙動がありました。これはちゃんと読み込む文書のデフォルトエンコードを決めたら直りました。
同じようなアプリは数ありますが、特に紹介したくなったのは、このアプリが他に比べて**「近道を提供しよう」という哲学で設計されている**と思ったからです。技術的にはこれまで別に存在していたアプリを、一つのウィンドウに集約してより時間の節約になるワークフローを提供するという考えかたが良いです。
ウェブ上のマッシュアップが何かと話題ですが、ウェブアプリ、デスクトップアプリ同士でのマッシュアップみたいなものもこれからの新しいトレンドなのかもしれません。ウェブログのオーサリングソフトでもこういうのがあるといいですね。
問題は値段。Transmit ユーザーなら今のところ $69 (8200円くらい）、ふつうに買うと $79 (9400円くらい)。さまざまなレイアウト機能などがついた DreamWeaver が５万円くらいなのに比べると安いですが…。HTML/CSS などを手でコーディングすることが多い人にはおすすめといえそうです。
