Life Hack とは

以下の文章は 2005 年に LifeHack がまだあまり日本に紹介されていなかった時点での作文です。今になるとちょっと違っている気もしますが、そのまま再録することにします。

LifeHack とは

「ハトが豆食ってパ」なんて呪文を聞いた事はありませんか? 僕の祖父は玄関で毎日これをやっていた人ですが、ようは忘れ物をしないための符丁です。

ハは、ハンカチ、トは時計、ガはガマグチあるいは財布のこと、マは万年筆、メは眼鏡、クは櫛などの身だしなみ品、テは手帳、パはパスつまりは定期券のことです。

こうした、日常の仕事や、生活の些事を少しでも楽にするための、ちょっとした工夫が好きな人は古今東西に大勢いると思いますが、こうしたテクニックがいま欧米の Geek (ハイテクオタク)の間では Life Hack と言われ、もてはやされています。

自分も祖父の血を受け継いでこうした Life Hack や整理術などといったものは大好きなのですが、結果よりも手段を磨く事に終始してしまう傾向があって、なかなか学ぶほどには仕事も生活も効率が上がりません。海の向こうでも状況は同じらしく、こうした動きは Productivity porn 、つまり「仕事術ポルノ」などと自嘲気味に言う人もいます。ポルノに夢中になるみたいに、仕事をするのではなくて、仕事術そのものに夢中になっていることからこうした命名がされます。

43 Folders Wikiにはこうした仕事術中毒の人たちが日夜、新しいテクニックを書き込んでいます (僕もその一人ですが…)。 なかなか面白いのをいくつか紹介しましょう。

  • 何か2択の決断に迷っているときには、コイントスで決めてみる。実際にコインを投げると心の中に「表になれ!」というような心の叫びがわき起こることがあるので、実際のコインの表裏は無視して、心の声に従うとたいていストレスが少なくなる。

  • 捨てたいと思った書類は、その場でまず半分に破る。そうすることで、うやむやになっていつまでも捨てずにいることは非常に少なくなる。

  • 買い物にいったおつりの小銭を必ず貯金箱にいれておき、給料日前に開く。財布にお金が少ないほど、無駄遣いを抑えることができる。

  • 家計をつけるのが面倒な人は、外部に見えないローカルなマシン上でブログにすれば良い。毎日使ったお金と積算だけをエントリーに書き込んで、見るときは RSS を使う。自分へのツッコミや、改善点などはコメントで管理するのも良い。これなら自動的にカレンダーにもなってくれるし、なにより書くのが楽しい。

ちなみに Productivity pr0n と書かれる場合もありますが、これはポルノという単語が Slashdot のフィルターを通過しないために、pr0n と書き換えた人が大勢いたのが、言葉として定着したものです。

文字通りのポルノではなく、興奮して夢中になるさまを自嘲気味に表現した言葉です。たとえば、hardware pr0n というと、ハードウェア系のオタクの人が、新品の Mac mini のケースを目を輝かせて開けているときなどに使われたりします。

欧米にもこうしたヘタレ文化が広まっているのは面白いです。ぜったい、日本から輸出したんだと確信していますが。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。