Wacom Bamboo Slate / Bamboo Folio は紙1枚から使えるデジタル化ツール

「手書きのメモをデジタル化する」この文句はいままで何度もきいたことがあると思います。

そして様々なガジェットが、ある程度の成功をおさめてきた分野でもあるのですが、いまいち「これだ!」という機能と利便性のバランスのとれたソリューションはありませんでした。

そんななか、先日から iWire のお仕事の一環でワコムの新しいスマートタブレット、Bamboo Slate、Bamboo Folio を使用させていただいたところ、これまでとは違った、ひょっとしたらこれが正解なのではないかという感触を得ました。

まずはBamboo Slate と Bamboo Folio の製品の特徴と、使用方法についてご紹介して、次の記事でその利用シーンの広がり方についてご紹介したいと思います。

いつものノートをデジタル化

Bamboo Slate / Bamboo Folio はスマートパッドと、専用ペンをセットで使うデバイスです。とはいっても、専用ペンはバッテリーが入っているわけではない、普通のボールペンで、先端に入っているコイルとコンデンサによってパッド側に電磁誘導を引き起こすことで手書きをデジタル化することをしています。

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こちらが小さい方、Bamboo Slateのスマートパッド。オレンジ色の部分はスリットになっていいて、メモパッドの台紙を差し込んで固定することができます。A5 サイズの紙を乗せて使うのに最適です。

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こちらがより大きなBamboo Folio。バインダー形式になっていて、A4 の紙をのせて全体をデジタル化することができます。この大きさはすごい。

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相対的な大きさはこのようになっています。フリップカバーはないものの、手軽に持ち歩けるBamboo Slateと、A4に自在に書けるBamboo Folio。

最初はBamboo Folioのほうが良いのだろうかと思っていたのですが、利用してゆくうちに、かばんに簡単に収まるBamboo Slateのほうが利用頻度が高くなっていきました。逆にBamboo Folioはオフィスで机に固定し、ときおり会議室に書類とともに持ち歩くという使い方に向いている気がしました。

10秒以内に起動、すぐに使える手軽さ

たいていのデジタルペンや、スマートノートブックは、ペンに精巧な赤外線カメラとバッテリーのような仕組みが入っていて、専用のノートブックとともに使うというものが多くなっています。

これは技術的にはすごいのですが、ペンのバッテリー切れが怖く、また、専用のノートを使わないといけないので、利便性を犠牲にしているところがあります。あるページに思いつきをかいて、その次のページに別のことを書いて…というのはノートブック好きとしてはちょっと気持ち悪いのです。

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Bamboo Slate / Bamboo Folio はそこをすべてスマートパッド側で受け止めてしまうので、一枚の紙からでも使えるのが特徴になっています。

Bamboo Slate の起動から使用まで from mehori on Vimeo.

この動画では、1. パッドのスイッチをオンにして、2. 書いて、3. すぐに同期という具合になっていますが、実際は記録をするのにスマートフォン側のアプリは立ち上がっていなくてもいいので、1. と 2. だけでちゃんと記録がとれています。

ペンを起動して、アプリとのペアリングを確認して…というのが不要で、だいたい10秒以内に書き始めることができるというのはこの手のガジェットとしては革命的に速く、かつ、失敗してイライラする箇所がないのがすごい点だと思います。

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ペンの幅は、0.5mmの一般的なボールペン並の太さで、感圧によって多少のタッチをきかせた記録もとれます。

アプリ側では分割して作成した複数の記録を合成したり、画像の一部をグラブして移動、コピー、ペーストすることも可能です。

書いた順序も記録されていますので、アプリ内では手順をさかのぼって、ある場所で分割するということも可能です。これは記録をとりながら上書きをたくさんしているようなときに利用できる機能ですね。

一枚の紙から、8mmの厚さまで

そしてこのBamboo Slate / Bamboo Folio、いつもの紙を使うことができるというのが、最大の利点になっています。

実際、どこまで分厚い紙でいけるのだろうかとモレスキンのポケットサイズを Bamboo Slate にのせて使ってみたところ、多少は歪みますがなんとか記録できています。これはすごい。

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これまでデジタルペンには「すべてを専用ノートに書かないといけない」という制約のあるものが多かったのですが、これは普段のツールを使って、好きなとき、好きな場所だけデジタルにして送信という使い方ができるのです。

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つかっているうちに次第におちついてきたのが、このように1枚の情報カードをおいてさくっと利用するという使い方です。

紙とデジタルの連携には、常に「どちらを保存するのか?」「どちらをメインに扱うのか?」という問題がついて回るのですが、これなら:

  1. アイデアを手で書いてEvernoteに送信して紙はすぐに捨ててしまう

  2. 紙で記録しているノートの一部分だけをメールで送信したい

という使い方ができるので、紙を捨てる場合でも保存する場合でも、利用方法の扉が開いているのです。これですよ。これがほしかったんです。

全体として、Bamboo Slate / Bamboo Folio は紙をアシストする、紙の「周辺機器」のような存在になっていて、これまでのガジェットに比べて利用しやすい気がしました。

さて、次回は私自身の利用シーンの幅にくわえて、iWire のイベントに参加された人の利用方法もあわせてご紹介したいと思います。

iwirelogos

本ブログは、インフルエンサーワイヤー(iWire)事務局から委託を受けて外部編集委員をつとめています。ブロガーの立場から、iWireの配信するニューズレターの編集やサービスについてアドバイスしています。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。