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パブリッシャー向けのMedium始動。チーム編集、収益モデルもそろってWordPressを追撃



ウェブ上の Longform (長文コンテンツ)を吸い込んで成長している Medium から、決定的な一手がでてきました。

その名も Medium for Publishers、パブリッシャー向けの Medium で、すでにウェブメディアとして活動しているサイトがそのコンテンツ管理システム(CMS)をすべて Medium に預けてしまうことを可能にするとともに、収益モデルも同時に発表されています。

個別ドメインを Medium で運営できること、編集者とライターのチームでコンテンツの作成ができることなどを含めて考えると、自分自身でサイトを作成して運営していた WordPress の代替として存在感を発揮しそうです。

Medium にメディアを移行する動機

Medium for Publishers はローンチとともにすでに数多くのサイトが移行しています(例1例2例3)。また今後、Money や Fortune といった大手サイトの出先サイトもこのプラットフォームに開くことが予告されています。

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上に挙げた例をみるとわかりますが、Medium for Publishers で作られたサイトはヘッダ部分で若干のカスタマイズと、レイアウトをブログ形式かグリッド方式で選ぶことができますが、基本的にはシンプルでモバイルファーストな Medium のデザインを踏襲しています。つまり、コンテンツの全てを所有し、デザインや、追加ウィジェットを管理できる WordPress 的な世界観とは一線を画しているわけです。

なぜ、そうした制限を受け入れても Medium for Publishers に移行するのかというと、サイトでも繰り返し紹介されているように、すでに多くの読者がいる空間にコンテンツを放つことでエンゲージメントが高まるメリットを重視しているからといえます。説明文のここがすべてを語っています。

Why publish into the void? An engaged network of millions of readers will discover your content via a personalized Medium feed, push notifications, and email digests. As your readers interact with your posts, their actions create organic conversations, boosting discovery. These ripple effects mean posts are read for an average of 25 percent more time when they are shared on Medium.

なにもないところにパブリッシュするつもり? Medium なら何百万という読者がすでにいる場所にむけてコンテンツを配信し、プッシュ通信や電子メールのダイジェストなどで拡散させることができます。読者があなたの記事に反応するに従って、それらのアクションはオーガニックな会話として広がり、コンテンツの発見を促します。実際、Medium に投稿された記事は平均で 25% 読まれる確率が向上するのです。

なにに比べて 25% なのか突っ込みどころもあるのですが、Medium がポスト RSS な世界におけるコンテンツ配信の仕組みを定着させたことは重要なポイントです。一方で、あまりに早くコンテンツが消費されてしまい、ロングテールが効かなくなるのではないかという危惧もあるわけです。

収益モデルの公開

今回は既存のパブリッシャーの移行を促すために、新しい収益モデルについても公開がされています。

これには2種類があって、定期的に価値の高いコンテンツを産出しているユーザーを対象に、Bose、Nest、Intel といったブランドパートナーと提携して執筆するモデルです。これはブランドコンテンツや、ネイティブアドのようなものなのでしょうか。

もう一つは、課金購読モデルで、これも選別された一部のパブリッシャーに対して、雑誌のような定期購読モデルを提供するものだといえそうです。

面白いのは、Medium の Medium らしさをうしなわないために、独自のバナー広告といったものは入れてないという点です。

Medium 自体の収益性は?

とても先進的で、魅力的な Medium for Publishers ですが、ちょっとだけ心配になるのは Medium それ自体の収益性です。

現在のところ Medium の利用はパブリッシャーであっても無料です。ブランドパートナーとの記事をパブリッシャーと折半するとしても、それはサービス全体を維持しうる数を提供できるのでしょうか? 読者を遠ざけることなしに?

また、こうした収益モデルが、自分自身で WordPress サイトを維持するのに比べて著しく収益性が低かったら、クオリティの高い記事を維持するために多くのライターを雇わなくてはいけないメディアが安定してサイトを維持できない可能性もあります。

Money や Fortune がまず出先サイトを作るというのも、そうした計算があってのことかもしれませんね。

ちょっと考えていることがあるので、ひょっとすると近いうちにこの機能を使ってなにかサイトを作るかもしれません。よければフォローしていただければ、通知が届くかと思います。

(追記)

Medium、note を含めた Longform について最初に触れたのはもう 2014 年の話ですか…あっという間ですね…。やはり、長い時間をかけて RSS は死んでいたということになるのでしょうか。

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著者について

堀 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。