音声で予定を入力できるFantastical 2 for iPhone / iPad

自然言語認識で予定を入力できるFantastical 2については以前Mac版について紹介しましたが、先日このエンジンがそのまま搭載されたiPhone版 / iPad版が公開されています。

これがどれだけ便利かというと、出先でさっと予定を入力するためにかかる時間が文章一つ分だという点です。UIをいじくって時間は、場所は、とする必要がありません。予定が入力しやすいということは、それだけ予定をきっちりといれるようになるわけで、時間の解像度が上がったような効果があります。

なかなか言葉では説明しづらいFantastical 2のインターフェースについて、動画と写真で紹介したいと思います。

連動するUIの面白さ

Fantastical 2を起動すると、月間ビューか、一週間の予定を直感的に表示するDay Tickerが表示され、その下にすべての予定がリスト形式でならんでいます。

さりげなくすごいことをしているのが、どの部分をさわっても他の部分が連動して動くように設計されています。リストを上下にスワイプしてもカレンダーの表示がかわりますし、Day Tickerを左右に動かしてもリストがそれにあわせて変化します。

IMG_7229

予定を探すとき、「このあたりには予定があっただろうか」と漠然とみる場合と、「あのミーティングの前後に予定はあっただろうか」とかなり詳細に探す場合があります。その両方が一度にみえて、思考の流れを妨げない仕組みになっているわけですね。

これはもう触れて、慣れてみるとわかるのですが、月間ビューだけのカレンダーだと日付単位でしか予定を入れなかったのが、Fantastical 2だとより詳細な予定をいくらいれても困らなくなります。

IMG_7240

Fantastical 2の最大の特徴は自然言語認識による予定の入力です。これも、今回のアップデートで日本語に完全対応しましたので「明日の7時」「次の日曜日」といった表現でもアプリがそれを適切に処理してくれますし、場所と予定の内容も自動的に埋めてくれます。

IMG_7239

今回加わった機能に、予定の下書き機能があります。よくあるのが、予定を入力している最中に「あ、この時間に別の予定がなかっただろうか?」と不安になることです。

こうしたときにいま作成している予定を削除し、カレンダーを確認して、再度予定を入力というのでは時間がかかりすぎです。そこで、作成している新規イベントを上から下にスワイプすると、予定をいったん横においておくことができます。これも、思考の流れを妨げないというFantastical 2のもっている設計思想の一つですね。

このあたりを動画にまとめておきましたので、ご覧いただければどういった操作感なのかがわかると思います。特に、音声認識で予定が入るところは魔法のようですよ。

Apple Watch版も登場

Fantastical 2 for iPhoneはApple Watch対応もしています。Appleの純正のカレンダーと違って、Fantastical 2は最も必要な情報である予定のリストとリマインダのリストを最初から表示しています。また、Force Touchをすると予定を音声認識で入力することも可能です。

徹底的に考え抜かれたインターフェース

Fantastical 2にはより広い画面で予定を一望できるiPad版も存在します。私などは卓上でiPadをたてて横に置いておくことで、秘書のように使っています。

IMG_0013

こちらがそのiPad版です。より広い画面を利用できるように左パネル、下パネルは格納できるようになっています。

IMG_0014

こうしてみてゆくと、冒頭に書いた「時間の解像度」という話が納得できるのではないかと思います。月間ビューでおおまかに予定をみるところから、週間ビュー、予定の一覧という詳細までが一度にみえるおかげで時間に対する方向感覚を見失わないのですね。

IMG_0016

iPad版については左右の画面外からのスワイプによってリマインダ、予定検索のUIも引き出すことができるようになっています。

先日、こちらのリリースにあわせてFantastical 2 の開発元であるflexibits社のCEO、マイケル・シモンズさんが再度来日して紹介を聞かせてくださいました。

今回これでMac版、iPhone、iPad、Apple Watch版のすべてが日本語化されたことをとても喜んでいた様子のマイケルさんでしたが、どうしてそもそもAppleが純正のカレンダーアプリを開発しているところに挑戦したのかをうかがってみました。

すると答えは、もともと言語認識の技術をもっているプログラマーがいて、彼のスキルを利用して解決できる問題を探していて、カレンダーという結論に達したのだそうです。言語認識は非常に難しいようにみえますが、カレンダーの予定入力という限定した問題なら、むしろ英語よりも日本語のほうが解析は楽なのだというから驚きです。

このプログラマーに、UIの専門家であるマイケルがタッグを組み、予定の入力と管理についての思考の流れを徹底的に設計に落とし込んだのがFantastical 2というわけです。

小さいアプリ企業で、これだけの完成度のものを日本向けにしっかりと作成してサポートしてくれるということはまれです。カレンダーアプリで迷っている人は、ぜひ一度試してみてください。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。