ブロガーと企業の幸せな出会いを模索するAMNの新サービス、reviews

単刀直入ですが、ブロガーによる商品やサービスのレビュー、読みますか?

レビューというと、買い手の視点で意見を聞けるのでとても参考になる反面、なんだか無条件に製品を賞賛しているのではないか?信頼がおけるのか?も気になるところです。

このブログでも本や商品を紹介することはよくあります。PRと書かれている記事の場合には、報酬をいただいていることも。しかしそのときに最も重視しているのが**「読者のためになっているか」**という1点です。

声をかけていただいた仕事すべてに応えるのではなく、この商品やサービスなら、自分が自分なりの紹介のしかたで伝えられる言葉があるだろうか? それは読者にとって面白いだろうか? が最初にあります。ですから、検討した結果お断りしているはなしもよくあるわけです。

必然的に、こうした条件が完全にマッチするのはまれで、ただの一介のブロガーである私と、製品やサービスを額に汗して開発している企業との幸せな出会いがあって成り立つものなのですね。

そうした「幸せな出会い」を模索するサービスとして、アジャイルメディア・ネットワークが reviews を公開しました。

その仕組みと、問題というか、今後の広がりについてみていきましょう。

reviewsはブロガーと企業の出会いの場

reviewsには審査を通過した個人ブロガーが登録されており、個人に指名で仕事を依頼したり、あるいは興味のありそうなグループに対してオファーをすることができます。

ブロガーを指名する場合が「記事広告プラン」、興味の有りそうなひとに商品のサンプルを送る、モニターを依頼するというのが「モニタープラン」「サンプリングプラン」になっています。それ以外にも、イベントに招待する「集客プラン」も存在します。

依頼する企業は、reviews 上でオファーを出して、それに誰が応じたか、案件がどんな状態にあるかを短いメッセージでやりとりすることが可能です。

実際のレビューはこんな感じ

ここで実際に、reviews のモニターとして、神戸派計画のメモ帳「orissi」をレビューした例をご紹介しましょう。

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reviews からのオファーがこのような形です。これに対して興味のあるひとが返事をして、めいめいに商品をうけとって記事を執筆します。事前のチェックや、納品の確認などもここからできます。

orissi

この「orissi」は特徴のあるメモ帳で、ToDoを書いたあとで、完了した部分を折りたたむことができるようになっています。

「え、それだけ?」と思われるかもしれませんが、買い物をしている時にいちいちペンを取り出して完了のチェックを入れることは難しいので、親指一つで折ることで見た目でもタスクが全部終わってゆくのを確認できるのがメリットといえます。

あえて難点を挙げるとすると、この折るという動作はメモに付いたままでは難しく、切り離さないとできません。そして切り離すとなくしやすいので、私のようにRhodiaメモから紙を切り離すのは捨てるときだけという人は、使い方を変化させる必要があります。このあたりは動画を見るとわかりやすいかもしれません。

さて、こんな感じでレビューが終わると、記事のURLを入れ、納品が完了します。これで一件終わり!

…でしょうか?

reviewsに期待したいこと

reviewsはこうして、ブロガーに何か依頼してみたいけど窓口がわからないという企業にアクセスしやすい入り口を作ってくれます。

でもそれだけでは「幸せな出会い」の最初の部分だけだといえます。reviewsはブロガーの小金稼ぎのためのサービス以上のものに発展できる可能性があるはずなのです。

たとえば、記事広告を依頼してそれについて書く、という関係だけでは想定通りの文脈の記事しか生まれません。

ingress

先日、イングレスのエージェントむけにNew Balanceが靴紐を配布したところ、「青い紐」というところから連想が働き、すでにネットで話題になっていたアニメのキャラクターのコスプレ的に靴紐が使用されて大きな話題になったケースがありました。いわゆる、「例の紐」の話です。

これなどは、企業の思惑を越えた動きが面白いわけで、New Balance の担当者としてこれを成功とみるのか、腹立たしい結果とみるのかはわかりませんが、とにかく大勢の人の好奇心と発想力をうながして一日中話題になったことはたしかです。

こうした、商品を作る側では想定できない化学変化を容認する、あるいはうながすコミュニティとして reviews を使うことはまだまだできません。やはり広告をお願いする場となっているからです。

でもどんな製品も知ってもらい、それについての新しい言葉がうまれるところからしか広がりは始まりません。そういう「最初の言葉」が生まれる場所に今後 reviews が発展してゆくとよいなあと思うわけです。

まとめ

というわけで一介のブロガーにすぎない私も reviews に登録していますが、ぜひともそういう新しい言葉を生み出す手助けをする誰かになれればいいなと思っています。

また、これから reviews に登録される方も、そういう視点で企業との、新しいレイヤーとの出会いを求めていただけると、きっと今後の発展につながるのではないかなと感じます。

ブロガーによる商品やサービスのレビュー、読みますか? 私は読みます。それが新しい視点や言葉を、発見を与えてくれるものならば!

(おまけ)

私の reviews ページはこちらにありますので、興味のあるかた向けに。

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堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。