ハードウェアとソフトウェアの境界を攻めるAdobe Ink & Slide

Adobe初のハードウェア製品であるInk & Slideをレビュー用にお借りして使う機会があったのですが、なかなか紹介する機会を逸していました。

この製品、なかなかに難しい。というのも、これまでのペンと定規の延長線上でできることをiPadに移植したのではなく、アプリとハードウェアが手に手をとって初めて可能なことを実現しているからです。

Ink & Slideを動画とともに紹介するとともに、なぜこうしたハードウェアが開発されたのかについて考えてみました。### Ink & Slideの使用感

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InkはAdonit社のPixelpointテクノロジーを導入した、ピンポイントでタブレットに描画できる正確さと、筆圧を感知するセンサーを内蔵したデジタルペンです。

スタイラスだと触れている部分がぼやっとしてしまうのを、このやわらかいですが細いペン先はタブレット上を傷つけたり不快な音を立てることなく操作できます。

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ギミックもなかなかにかっこいい。ペンの末がLEDでさまざまな色に変化して動作を表示してくれます。ここが充電用の電極にもなっていますので、

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このように充電を行います。この充電器がケースの一部になっているのは実に秀逸。ケースにいれて持ち歩いているぶんには、充電器だけを忘れたりということがありません。

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しかしポイントは、この Ink が Adobe のアプリといっしょに開発されていることです。対応している Adobe Line / Sketch / Photoshop mixのアプリでは Ink を登録して使用することができます。むしろ、これがないと、少し使いにくい気がするほどです。

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こちらは Adobe Line のツール変更 UI ですが、中央にすっと表示されて、ペンで選ぶことを誘いかけています。

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Slide はデジタル定規といってもいいのですが、指のマルチタッチではどうしても不正確になる操作を、タブレットの上に置くことで正確に行うための支援デバイスという役割をもっています。

タッチを認識すればいいだけですので、Slideは電池もいらない構造になっています。

というわけで、たぶんここから先は動画でないと理解しづらいと思いますので撮影してみました。本当は大きいサイズの iPad のほうが利用しやすいのですが、iPad miniでもなんとか使えるというサイズ感です。

ハードウェアとソフトウェアのあいだに

動画で御覧いただいてもわかるとおり、Adobe Ink & Slide というのは不思議な製品です。

これはハードウェアでありながら、Adobeのアプリというソフトウェアの存在を前提としています。指では正確にできないので控えていた作業を、可能にしてしまうという野心的な意図を感じるわけです。

ここまでタブレットだけで、タブレットアプリのUIでなんとかしようとしてきた部分が、必ずしも作業をするひとには便利になっていないのを、ハードウェア側で解決しようとしているわけですね。

こうして考えると、タブレットに専用のハードウェアをつけて機能を特化させるという例はもっとあってもよいような気がします。

たとえば iPad のスマートカバーを使った Evernote Peek のようなものですね。

この Adobe Ink & Slide、万人のためのデジタルスタイラスと思ってしまうと、ちょっと割高に感じられます。しかしデジタルな環境で作図やイラストレーションをする人には、時間節約という形で答えてくれるデバイスとなります。

ここでAdobeのすべてのアプリが最近Creative Cloudとつながり、作った成果をクラウド上に保存、共有できるようになっていることがきいてくるわけです。

Creative Cloud については、もはやキャンペーンが常態化していて、特に学生さんや教職員のかたは常に得な値段で購読が可能なのと、プロ志向で制作をおこなう一般の人にとっても値段に見合った製品群が展開されていますので、それについてはまた機会をあらためて。

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堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。