360度カメラRICOH Thetaが動画とカラーバリエーションに対応

GoPro、FrontBack、そしてRICOHの360度全天球カメラTheta(シータ)に共通することがあります。それは、より撮影者の視点や、体験に向かって見ている側が踏み込んでいくことができる点です。

とりわけThetaは、撮影者の背後もとらえ、見る側が視点を操作して変えることができるのですから、撮影者の意図を超えた効果が常に得られます。

そのThetaに、動画の撮影、より高速なWi-Fi転送、そしてカラーバリエーションに対応した新機種、RICOH Theta m15が登場しました。発表記念のファンミーティングに参加しましたのでその様子も含めて紹介したいと思います。

会場となったのは日本科学未来館。全天球カメラにふさわしいジオコスモスのすぐ隣りです。

RICOHの担当の方からは、今回の製品の目玉について紹介がありました。なんといっても今回の目玉は音声もついた最大3分の動画撮影機能です。その様子はこちらのVineでもわかります。

動画を動かしている最中に視点を変える技術は昔からありましたが、ポイントはThetaを持って、ボタン一つでそれが実現するという点です。Thetaの写真とは違って、動画の作成はパソコン側の処理が必要になるためにすぐに確認できるわけではありませんが、これまでに比べて手間は格段に減っています。

残念ながら写真の解像度は変化なしなのですが、Wi-Fi転送速度が倍になっていますのでよりストレスなくアウトドアでの利用が進みそうです。

こちらがカラーバリエーション。従来の白に加え、赤、青、黄色が加わっています。み、緑は!?

定着してきた、Thetaらしい利用の仕方

ファンミーティングでは、Thetaを改造したり、拡張現実に応用しているパワーユーザーが登壇していましたが、面白かったのが昨年は様々に実験的だった使い方がある程度収束して、**「これは他の人に普段見せられない視点を与えるために使うものだ」**という合意があったかのように、成層圏からアイドルのそばまで、さまざまな日常・非日常に投じられている点です。

それを自らの体験として素直な言葉で表現していたのが、タレントでガジェットにもあかるい松嶋初音さん。こちらはThetaを使い始めて、他の人が写り込んではいけないのでは?と配慮して、知人らが車の陰にいる時に撮影した初期の写真です。

しかしすぐにThetaとは何かが周囲の人に受け入れられるとともに写真の撮り方が大胆になり、好奇心の赴くままに視点が広がってゆく様子がプレゼンから伝わってきました。

そんな松嶋さんが要望しているのはダイビングの際に使うことができる機能改善。ダイビングというのはほとんどが撮影者の視点ばかりなのですが、あれこそ上も下も意味を喪失する世界なのですから、Thetaにもってこいです。さすが鋭い。

API/SDKも公開。しかし不安も

RICOHからはThetaに関する開発をするためのAPIの公開とSDKの配布も告知されました。

どこまでの機能が実現可能かは、公開されるまでわかりませんが、熱意を持った人が専用のアプリを開発するチャンスは生まれるわけです。

しかし一方で心配なのは、第一回目のファンミーティングでも懸案として上がり、中の人も対応を検討していた機能、たとえばブログなどへの埋め込み時のファーストビュー(最初に見えるアングルと倍率)を指定する方法などがまだないのに、ハードだけが先行しているところです。

近年のデバイスはハードとソフトの開発が両輪で、どちらが足りなくても真価を発揮できません。特にThetaは「面白い画像」が撮れるとしてもそれを効果的に表示して、シェアする方法が同程度に進化しなければ面白さがどこにもいかなくなります。

会場で中の人と話していると、「それはSDKが出ればコミュニティがなんとかするのでは」という印象の回答が複数返ってきたのですが、なんとなくこれも首を傾げます。

「面白い画像」が撮れるとしてもそれを効果的に表示して、シェアする方法は同程度に進化するか?

たとえばスマートウォッチの Pebble や、iPhoneやGoProをマウントできるドック Galileoは開発段階から開発者のアプリストアが組み込まれており、写真の再発明を避けたり、開発者が互いに協力したりするプラットフォームが構築されています。

RICOH Thetaはさらにわかりにくい 部分があるのですから、こうしたプラットフォームによって使用例や、サードパーティ製のアプリケーションが流通するとさらに利用が広がるのではと思いました。

とにかくカラーバリエーションはきれいでした。こちらは黄色。

青、レジスタンス色!

そして赤。黒がないのが不思議ですが、今後増えてゆくのかもしれません。

発売は11月14日。去年買っていなくて、この新機種から使ってみようという方はぜひ予約してください。

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堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。