ホームWDS小さな変化が人生を変える。A. J. Jacobs さんの「自分実験」が教えてくれる戦略的な大胆さ #WDS2014
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小さな変化が人生を変える。A. J. Jacobs さんの「自分実験」が教えてくれる戦略的な大胆さ #WDS2014

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World Domination Summit 2014 の最初の基調講演をつとめたのは、「聖書男」、「健康男」などの著書で知られる A. J. Jacobs さんでした。

このブログでは 2007 年に「聖書男」が翻訳されるまえに記事にしたことがあって、本人の話を聞くことができるのはとても楽しみでした。

「聖書の戒律を一年間すべて守ってみる」「健康といえることをすべてやってみる」こんな風に自分自身で人体実験をするように極限まで試してみることで彼が学んだこと、そして彼がこれまでで一番野心的だという次のプロジェクトとは?

聖書の戒律を守る一年

壇上にあがった Jacobs さんは決して強気な、パワフルなタイプの人間ではありません。むしろ、ユーモアに満ちてはいますがどこか内向的で、世界においてどこか居心地の悪さを感じているような印象さえ感じられます。

そんな彼には、ちょっと普通ではない特質があります。なにかを始めると、とことんやってしまう「ガチな人」なのです。

たとえば「聖書男」に描かれたのは、「十戒」のようによく知られた聖書の戒律だけでなく、違う種類の繊維が混じった服は着てはならない、髭をそってはいけない、不倫をしているひとには石を投げなくてはいけないといった、今からみると不思議に思える戒律もすべてそのまま守ってみたらどうなるだろうか? という試みでした。

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顎から耳まで届くひげを生やした Jacobs さんは空港の保安検査場で何度も足止めされ、レンタルの羊を連れて白い寛衣を着てニューヨークに出れば奇異の目で見られ、「俺は不倫しているぞ。石を投げないのか?」と挑発してくる相手に「いいの!?」とポケットから小石を取り出しては殴られそうになったりと、冗談のような毎日を過ごします。

「産めよ増えよ」という戒律を忠実にまもってその年は双子を授かったというのですからどれくらい真剣に戒律を守っていたのかわかります(笑)。

こうした一年から彼が学んだのは、聖書の教えが生活を単純にし、常に「感謝の念」を抱くための礎になってくれるということでした。「何にでも喜びなさい」という言葉のとおり、エレベーターがきても、「なんと、エレベーターが来てくれた、感謝を」という具合に感謝しているうちに、彼自身が感謝にあふれた人格に変化していったのだそうです。

「よい人間になる方法は」とJacobsさんはいいます。「よい人間であるかのように振る舞うことだ。そうすると、不思議なことにきみはよい人間になるんだよ」。

これは外側が内側を決めるのに有効であるという話でもあります。よく「外見ばかりをつくろってはいけない。内面を磨かなくては」と言われますが、自分自身の姿勢、世界をみる方法が、自分の内面を変えてゆく力は過小評価してはいけないのです。

世界中がみんな従兄弟

百科事典ブリタニカをすべて読むというプロジェクト、あるいは健康と言われる食品や活動をすべて試してみるというプロジェクトをそれぞれ実行し、書籍にした彼が現在取り組んでいるのはこれまでになく野心的な、多くの人を巻き込むプロジェクトです。

「家系図サイトというのを知ってるかい。すばらしいものでね、名前などの情報をいれると自分が誰の家系に属していて誰と親戚なのか表示できるんだよ」と彼は本気なのか冗談を言ってるのかわからない口調で始めます。

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「それによると、僕はオバマ大統領とは遠縁の従兄弟らしいということがわかるんだ」といいながら彼がみせたのがこちらの画像。Jacobs さんから彼の母、その兄弟、その奥さんの父、そのまま父、その奥さんの…という具合に続けてゆくと、たしかに遠い遠い義理の従兄弟、といっていいのでしょうか(笑)とにかく家系がつながります。

同じことはアルバート・アインシュタインでも、グイネス・パルトロウでも、ジョージ H. W. ブッシュ元大統領でもできます。こうしてできるかぎりのつながりを見出して、来年の 6月6日に巨大な親戚の会を開くのだそうです。

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「この会場にも、実は僕の従兄弟が二人もいるんだ」と壇上に二人の女性を呼んで彼は紹介します。「いやあ、さっきまで知らなかったんだけどね」

もうここまでくると真に受けていいのかどうなのかわからなくなってきます。あっけにとられている満場の聴衆に彼は続けます。「知ってるかい?全人類はこうしてつなげていけば、誰もが50番目の従兄弟なんだ。僕らは巨大な家族なんだ」

となりの人がなんだか嫌なことをして気分が苛立つ。他人だからなんだかよけいに苛々とするのですが、遠い従兄弟だと思えば「まあしょうがない。ああいうやつなんだよきっとあの従兄弟は」という気持ちになれるのではないかと Jacobs さんはいいます。

自分を変えること、それは人との関係を変えることでもあります。そしてすべての人は「他人」ではないのではないか? A. J. Jacobs さんの「ガチ」な生き方は、ついに世界を巻き込むところまで広がったのです。

戦略的に、大胆になろう

面白いのは「とてもこんなことは真似できない」と思える Jacobs さんの活動は、どれも本質的にはたいていの人にまねが可能なものだという点です。

ここまで突き抜けることができるかは別として、人に優しくするという教えを守っていたら優しくなった、姿勢を変えたら堂々としたといったくらいの「小さな変化」でも、人生を変えることはできるのです。

このことを、彼は「戦略的に大胆になろう」と表現します。どこを変えるのかはよくよく考えなければいけません。でもいったん変えると決めたなら、どうせなら大胆に振る舞ってみればそれだけ得られるメリットも大きいのです。

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最後は最前列の人たちを全員ステージにひきあげて「私たちはみな家族」と歌を歌うという終わり方。最前列にいた私とその他日本人数名が左のほうにみえますね(笑)。

A. J. Jacobs さんの Global Family Party は Geni というサイトで進行中ですので、興味のある方はフォローしてみてください。

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著者について

堀 E. 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。

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