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ブログでもSNSでもない「note」は未来を生み出すコンテンツ・プラットフォームだ

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文章、写真、音楽、動画などを気軽に投稿し、作り手とフォロワーとをつなぐサービス「note」が初日から大きな話題となっています。

ここしばらく、欧米ではMediumHiといった、ブログから派生したコンテンツ・プラットフォームが一つのトレンドとなっていましたので、note はその日本版と考えることもできます。

しかし上記のような種類のコンテンツについては、すでに tumblr のようなサービスがありますし、普通は個人ブログで提供するほうが自然になりつつあったいま、なぜコンテンツ・プラットフォームなのでしょうか?

一言でいうと note はこれまでと何が違うのでしょうか?

ライトウェイト・コンテンツが羽ばたく場所

noteは、加藤貞顕氏らがしかけたデジタルコンテンツのプラットフォーム、cakesのアカウントで利用することができます。

cakesはもともと特定のライター、クリエイターの連載を「フォローする」という機能がありました。これは新聞のように配置や扱いの重み付けをつけてコンテンツをおいておけばてきとうに読者が読んでくれるというモデルよりも、一歩踏み込んでいます。コンテンツの周囲に人が集まるモデルがすでにここにあったのです。

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noteはそれを進化させ、誰にでも投稿可能に開放したサービスとなっています。ツイッターのつぶやきのような「トーク」、写真、テキスト、サウンド、ムービーなど、コンテンツを簡単に投稿できます。

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たとえばテキストについては、このように表題と本文を書き込み、任意の場所に画像を挿入、あるいはテキストを選択して太字、揃え、リンクなどを加えることができます。

今後サポートされるはずですが、現時点ではフォントの選択や、表などといった要素はありません。むしろ、最低限のコンテンツを素早くパブリッシュできるところに魅力を感じます。

才能ある人が何ヶ月も推敲したり入念に作りこんだコンテンツの価値は、いまもこれからも変わりません。しかし、そこまで時間をかけることができない、あるいはその場の情熱で「えいやっ」と作られたものの面白さも確実に存在します

htmlの書き方もしらなくても、noteがあれば小学生でも小説を、絵画を、歌を、映画を遊びで公開できます。noteは誰もがもっている「表現したい」という憧れと意思に、出口を与える存在になりうるのです。

コンテンツに足が生える仕組み

また、noteはブログ的ですが、どこかブログではない側面をもっています。

これまで個人がなにかのコンテンツを発表するなら、ブログやツイッターアカウントなどを開設してそこにアップロードするという方法が主だったと思いますが、これはこれで誰もがコンテンツの「ホーム」をもつことができる一方で、読者は by chance でやってくる寂しさがあります。

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図にするとこんな感じでしょうか。緑色の箱を読者とすると、たしかに、Googleの検索などを経ていかなるコンテンツでも発見されるすばらしい時代なのですが、それぞれのコンテンツは島のようになっていて、必ずしも流通していないのです。コンテンツの外側に流通の仕組みがあると言い換えてもいいでしょう。

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noteのもくろみが成功すると、きっとこう変わるのではないかというのがこちらの図です。note ではクリエイターをフォローし、それぞれのコンテンツにコメントをいれ、そこからツイッター、Facebookに発信する仕組みがすでにあります。

つまりすでに note はコンテンツを中心にしたコミュニティを誕生させつつあるということでもあります。cakes の仕組みが一般化したというわけですね。

そしてnoteに新しく投じられるコンテンツは、すでに読者がいるところに、話題がある場所に、コンテンツが流通している場所に加えられることになります。

これにとても近いのが、実は WordPress.com や、はてなブログだったりします。これらのプラットフォームで記事を投稿すると、すぐに新着フィードを通して、読者の流入がありますが、これはそれだけユーザーが多い場所にコンテンツを投じたからおこる現象ですね。

このあたり、ブログ R-style の倉下さんも言い当てておられると思います。

つまり、人がそこに集まるのだ。言い換えれば、日本語で言うところの「場」としての機能が意識されたプラットフォームなのだ。(「note」を触ってみた雑感など | R-Style

そしてnoteは投稿できるコンテンツの設計図をあらかじめ与えてしまうことで、自由すぎるブログくささを排除することに成功していて、ブログではない、ツイッターでもない、tumblrでもない、でもオリジナルのコンテンツであるという、微妙なバランスをとっています。

英語ではなにかの話題や製品が持続して関心を集めること、話題がひとり歩きすることを “it has legs” と表現しますが、デジタルコンテンツに足がはえてひとり歩きする場を作ることを目指したプラットフォーム、それがnoteなのではないかと推測しています。

課金は、コンテンツの差別化をもたらす

noteのもう一つの特徴に、コンテンツに対して 100円から10000円の課金を行うことができるというものがあります。

これは投げ銭的に、クリエイターに報酬をフィードバックする仕組みとしてみることもできますし、多くの人はその面を注目しているようにみえます。

しかし、課金は儲けるためというよりも、コンテンツについて避けて通れない「評価軸」を多様化するためのものではないのかと推測しています。ネタフルのコグレさんも、まさにその点を指摘しています。

ぶっちゃけてしまうと、自分の作るコンテンツに対するマネタイズ自体が面白いと感じているのではないんです。これで儲けられたら、とは思いません。そうではなく、ダイレクトに投げ銭されるという、記事の価値がこれまでのPVとは違う尺度で計られるのが楽しいのであり、それが手軽に可能になったプラットフォームに魅力を感じている次第です。(伊集院光「note」はじめる → からの雑感と期待 | ネタフル

ダン・アリエリーの名著「予想通りに不合理」で、著者は「0円」という値段があらゆる消費者行動を狂わせることについて章を割り当てて解説しています。

値段がついていたら差別化されるものが、無料だと「ついでだからもらっておこうか」という行動をうながしたり、逆に「無料だからきっと価値がない」と読む前に決め付ける原因になったりと、「無料」にはバランスを崩す魔力があります。

ブログの記事は基本的に無料です。ですから値段をつけたとしても「この記事には価値があるから100円払おう」というインセンティブははたらきません。

しかしnoteのように、無料で提供されるコンテンツと、有料のコンテンツがいわば一つの市場のように同じ場所に集まっていたなら?

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こちらのいしたにさんのnoteなどはとてもよい例です。これがブログに貼ってあっても、不思議な感じがしますが、さまざまなコンテンツが流通するnote上ならば、「顔出ししていないネタフルのコグレさんの写真集?どういうこと?」と好奇心が生まれます。

無料のコンテンツだけでなく、課金コンテンツが流通しているからこそ、noteはブログのようにフラットすぎる場としてコンテンツの内容だけでGoogleによって平たくならされてしまう地形になりません。流通しているコンテンツの差別化要因として課金は多様性をもたらすのです。でこぼこしているのです。

コンテンツを作る才能によって、ノリによって、好奇心を生み出す熱量によって、単にみせかたの巧みさによって、コンテンツにでこぼこした差が生まれる。差があるからこそ、流通し始める。課金コンテンツにはそういった意味があるのではないでしょうか?

そしてフラットすぎる世界に起伏をもたらすことで、逆にフラットなブログとの相互作用も期待できます。

noteで連載始めます

さて、ここまで長く書いてきたことは私が多少興奮とともに感じている直感のような、妄想のようなものです。これには乗らなくてはダメです。すでに試験的に北極の写真に文章をのせたnoteを作ってみましたので、興味のあるかたは御覧ください(写真がきれいですよ!)。

noteはしばらくの間は、SNSやブログから読者を牽引してくることができる著名人や、ブロガーが、コンテンツのフローを牽引するはずです。そのためには、note内でコンテンツのリツイートに相当する機能など、まだまだ必要な機能はあります。

しかしこの仕組がうまくまわりはじめると、コンテンツのまわりにコミュニティが誕生し、noteに付けられた「スキ!」によってコンテンツが一人歩きを始めるはず。

その一本の道の先にあるものをみてみたいので、ブログから派生した連載を実験的にnoteの方に順次アップしようと思います(フォローはこちらから)。

久々に心に火がつくサービスの登場ですね! 乗ってみましょう!

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著者について

堀 E. 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。Evernote ライフスタイルアンバサダー。ScanSnapアンバサダー。この他のブログに、ライフ×メモ 、Climate+を運営しています。

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