Evernote×モレスキン、Smart Notebookを試してみた。これは、いいものだ!

Evernote Trunk Conferenceが終了したばかりですが、Evernote CEOのPhil Libin氏がビジネスミーティングのために一瞬だけ日本に立ち寄るという情報を耳にしましたので、これはチャンス!とばかりにお話をうかがいに空港まで押しかけていきました。

朝5時に日本入りして、夕方6時には出発するという強行軍の合間に貴重な時間をくださったPhilと、調整をしてくださったCFOの外村さん(@hokayan)に感謝します。

Philとは、新しく発表されたEvernote Businessの真の意味、Evernoteがこれから向かう先など、実にさまざまな話を楽しくすることができましたが、それらの深い話はまだ自分のなかで咀嚼ができていませんので、明日の記事と、そして今週のライフハックLiveshow(土曜日に変更!)の議題にしたいと思います。

というわけで今日の話題は、「最後の一冊をとっておいたよ」と Phil がくださった Evernote Smart Notebookの現物のレポートを。最初に結論をいうと、これは…いいものです!### 太い罫線、緑のしおり、緑のゴムバンド

上の写真がそのEvernote Smart Notebookの現物です。表面にEvernoteにまつわるすべてのアイテムが加工されています。

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カバーを外すと、象の姿が明らかに。すばらしい!…のですが、これは2冊目、3冊目になるとノートがどれも象になってしまうので、表紙デザインのないバージョンもほしいところですね。

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さて、話題のSmart Cameraを最適化する特殊な罫線はどのようになっているかというと、このような破線となっています。通常の罫線よりも少し太いのですが、グレーの色合いのためにあまり気になりません。

よく、罫線が太くなるとあまりに線が自己主張をするので、線をまたいで書く気がなくなってしまうノートがありますが、色合いと破線のおかげでそうした抵抗感はありません。写真はアップにしているので破線がとても目立っていますが、手でもった距離だとここまで目立たないという点も留意ください。

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拡張ポケットにはタグとリンクしている Smart Sticker が4枚入っています。通常の利用だと十分な数だと思いますが、今後追加ステッカーの販売も検討されているそうです。

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Evernoteプレミアムのコードも含まれています。モレスキンとしては高価なほうですが、3ヶ月分のプレミアム、1350円を含んでいると考えれば多少買いやすくなるのでは。

モレスキンらしさを失わないまま、緑のしおり、緑のゴムバンドをそなえ、やはりどことなく Evernote という雰囲気を醸し出している一冊です。なんでしょう、この頼りがいのある感じは。

Page Cameraを使ってみる

iOS アプリに追加された Page Camera機能はモレスキンだけでなく、普通のノート、ホワイトボードなどといったものにも利用できます。

新機能を追加するのに案外保守的な Phil があえてこの機能を追加した理由をきいたところ、「これはすでに多くの人が独自のアプリでやっていたことで、Evernoteで撮影されるものの多くが平面であることを考えたら、必要な機能だと考えたのだ」という返事でした。

さてさて、新しいモレスキンを買ったらまず最初からにすべきは 1. 落とした場合の連絡先を記入することと、2. 最初の一ページになんでもいいから書くことです。そうしないと、あまりに美しいノートを前にしてなにも書き込む気力がなくなってきます。なかに書き込むものこそ、もっと価値があるのに。

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そこで最初の一ページにてきとうにいろいろ書いて貼り付けてみます!

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ここでiPhoneをとりだして、Page Cameraで撮影してみます。Page Cameraは普通に写真を撮影しようとすると画面上部に Off の状態になっていますので、On に変更して枠線を表示させて撮影します。

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これが取り込んだ様子です。自動で「トラベル・ホーム・承認」というタグが挿入されているのは、Smart Sticker のおかげです。

ノートが本体、Evernoteはその余白

これまで私は、「モレスキンは人生という本の余白」ということを繰り返し書いてきました。人生という本を読む際に思いついたこと、書き留めておきたいことを記入する、豊かな余白です。

しかし今回の Page Camera と Smart Sticker で今度は逆に Evernote がモレスキンに対してデジタルな余白として機能しているのを感じます。

Page Camera 機能は、モレスキンの全てのページを撮影することをもちろん想定していません。特定のページを撮影してEvernoteで検索可能にしたり、人と共有することで、ノートは手元にありながら、その内容がクラウドにむかって解き放たれるという意味合いをもちます。

大事なことなのでもう一回書きますが、手元にあるノートこそが、自分に最も手近で、大切な、実体のある存在です。しかしそこに書かれていることはノートを破壊せずとも、ノートを手放さずとも、Evernoteを通して記憶・共有されるというのがポイントなのです。

私のメモが、私だけの記憶、経験ではなくて人と共有された知識、経験として広がってゆく。逆に人の記憶と経験が偶然的に私を触発していきます。

Evernoteとモレスキンのコラボレーションが単なる文具のアイテムというのではない、遠大な戦略に基づいているということがここからわかります。これについてはまた明日。

Phil によればモレスキンとのコラボレーションは始まったばかりで、今後も別な機能、別の製品が開発段階にあるそうです。ノート上から日付を拾ったり、手書きデータのもっとスマートな取り扱いなど、今後も期待できそうです。

気になる人は、まずはモレスキンのホームページから予約しておきましょう。売り切れ必至ですよ!

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。