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心を動かすスピーチに必要な一つの「賭け」 #TEDxTokyo

Wednesday, 30 May 2012 · by · Uncategorized

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Ted
広めるべきは思想なのか、想いなのか。壇上に上り、スポットライトを浴びてスピーチをする人は一つの賭けをしなければなりません。

今日は、来年の TED イベントの発表者のオーディションとして世界14カ国で開催されている TED Global Talent Search のイベントにGoogle+ Reporter にとして招待いただき、20名弱のスピーカー、パフォーマーの発表を見ることができました。

考えさせられるスピーチあり、考え方をひっくり返されるアイデアあり、目をたのしませるパフォーマンスありの楽しいイベントでしたが、同時にスピーチ・パフォーマンスの難しさ、厳しさについても目の当たりにするイベントになりました。

思考を伝える際の賭け

Chris

TEDのスピーチには大きくわけて2種類に分けられるとおもいます。一つは専門的な知識を簡単、かつ論理的に聴衆に伝えるものと、共感できる内容を情感とともに伝えるものです。

難しいのは、この2種類のスピーチを聴衆として評価する際の基準がまったく異なることです。

前者は「思考の内容」と「プレゼンテーション」を軸として評価が行われます。両方がすばらしいことは稀で、プレゼン的に上手なのに伝えるべきメッセージがない場合と、拙いけれども重要で考えさせられるアイデアがある場合との間で、緊張が走ることのほうが普通でしょう。

後者は「情感の伝達」と「共感」というハードルを超えなくてはいけません。たとえば重大な人権侵害について熱っぽく説くことを選んだとして、実例を次々に上げることで切迫した状況を伝えることはできても共感を生み出せるとは限りません。

そこで話者はひとつの賭けをしなければいけません。自分が手にしている話題を伝えるにあたって「アイデアを説明する」ことを優先するのか「共感を生み出す」ことでアイデアの価値が明示されることを目指すのか、です。

今回、前者のタイプで卓越していたスピーチがサブスティテューショナルリアリティーの解説を行った藤井直敬氏のスピーチ、日本人が物に対して行う擬人化を通して参考となるものの見方を提供した川口盛之助氏のスピーチだったように感じます。

また後者だと、経営者が指で絵を描く活動を通して新しい活力を得ている話題を解説した斎藤立氏のスピーチ、幸せな人についてのドキュメンタリー映画を撮影して気づいたことを教えてくれた清水英治氏のスピーチだったように思います。

また、芸術家マテオ・チェッカリーニ氏が私達の思い込んでいる「上手な絵」という考え方をスライドを一枚も使わずに解体してみせて、我々の心のなかに芸術家の種を植えてみせたのは、上の分類から漏れてしまう規格外の素晴らしいスピーチでした。6月にこのイベントの動画が公開された際には、ぜひご覧頂きたいとおもいます。

パフォーマンス的なプレゼンの賭け

パフォーミング的な発表でも実は似たような賭けがあります。今回、対照的だったのは一言も説明がない Black 氏の超絶のヨーヨーパフォーマンスとギターでの挫折の経験の告白とともに情感たっぷりに演奏されたエロン・グレイビー氏のパフォーマンスでした

Black氏のパフォーマンスには一点の妥協も曇りもありません。そしてヨーヨーで日本的なステージを作り出すのに必要な努力のレベルはその演技から直接伝わってきます。パフォーマンスがすべてを語っているのです。

一方、エロン氏のパフォーマンスは彼のたどってきた道のりを物語るもので、技巧よりも共感をさそうものでした。しかし技量に自信がないからといって共感の道を安易に選んではいけません。個人的であればあるほど、誰にも響かない可能性もあるからです。

この二つの幸福な融合を今回見せてくれたのは手話ダンスグループのハンドサイン・ダンス・クルーのパフォーマンスでした。彼らの演技そのものが、選曲と構成がそのまま手話への導きとなっていて、パフォーマンスが終わる頃には音楽の歌詞と手話が瞬時に頭のなかで翻訳されるようになって感動しました。

30秒だけ壇上へ

今回、参加者も希望者が30秒だけ壇上に上がって「Ideas worth spreading」を伝えるチャンスを与えられました。

こうしたチャンスはどんな恥をかくことになってもとりあえず手を挙げることにしている私はいつもイベントなどで紹介する「嫌いな人にも『ありがとう』という」ハックの話をさせていただきました。

壇上にのぼってびっくりしました。スポットライトがまぶしすぎて、聴衆の姿がほとんどみえないのです。世界は過ぎ去る時間と自分の声だけになります。

今日みることができたすべてのスピーカーはこの世界で自分のアイデアを解き放っていたのかと思うと、表向きの良し悪しは横において深い敬意を感じました。

伝えるべきアイデアや想いだけの研ぎ澄まされた世界。私もいつか大胆な賭けを胸に、もういちどここに立ってみたいものだと感じたのでした。

Okyo

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