ツイッター・Facebook・Google+ の使い分けは「誰に情報を届けるか」で考えればすぐわかる

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どうしてもソーシャルなサービスの話になると、「ツイッター vs Facebook」とか「Facebook vs Google+」といったように、互いのサービスの機能や利用者数で物事が語られる傾向があります。

技術的には興味のある話題ですが、しかし利用する側からみると、すこしこの議論の仕方は物足りないような気もします。

ツイッターであれ、Facebookであれ、Google+であれ、本質的には「誰かの情報を読む」か「自分のもっている情報を誰かに伝える」の二つの機能だけがその真価を決定します。RTや「いいね!」ボタンや、「+1」ボタンといった仕組みは、信号を増幅するアンプのようなもので、信号そのものには成り代われません。

一方、3つのサービスには情報の伝え方に違いがあるために使い分け、あるいは適性のようなものがうまれます。ここでは「情報を誰かに伝える」という視点で考えてみましょう。

ツイッター:ブロードキャスト型

ツイッターは、つぶやきを公衆に向かってひたすら投げ続ける、放送のような「ブロードキャスト」の側面が強くなっています。

時折レスポンスが返ってきますが、ほぼ同じレスポンスが2つ返ってきたとして、二つには個別に返事する必要があります。つまり返事をしてくれた人は必ずしも場を共有していないということで、これはラジオ番組のお便りコーナーとどこか似ています。

ツイッターの場合「誰に情報を届けるか?」という質問への答えは「不特定多数の誰でも」であり、返事にはある種の偶然性があらかじめ期待されているのです。

Facebook: 相互契約型

お互いが「フレンド」であることが一応前提となっているFacebookの場合、やりとりはまるで居間に全員が集まって談笑しているみたいな味付けが強くなっていきます。「共通の友人」が多いほどつながりが強くなっていきますので、「内輪話」の感覚が強くなるのもうなづけます。

Facebookの場合「誰に情報を届けるか?」という質問への答えは、この「親密なネットワークの全員に向かって」というもので、俄然礼儀正しい、あるいは自分が属しているソーシャルグラフの空気に沿った投稿が増える傾向にある気がします。

Google+: 内緒話ができる

ここで、Google+ の魅力が際だちます。ブロードキャストでもない、仲間全員への一斉同報でもない、見知らぬ人との濃密なやりとりが可能になるのです。

先日、「おすすめの本はある?」と Google+ に投稿した際の話につながりますが、それまで会話した事がない人が返事するのはツイッター的で、コメント欄で空気が醸成されて親密な会話ができる点はFacebook的な、両者のいいとこどりをしているのがGoogle+というわけです。

Google+の場合「誰に情報を届けるか?」という質問への答えが存在しないのも面白い点です。あえて答えると、「サークルの誰かに」となりますが、その「サークル」は、相手と自分との「黙契」の形をとっているのです。

たとえばGoogle+には鳥の画像ばかりを届けてくれる「鳥ストリーム」を作り出す人や、特定のアニメの画像ばかり投げてくる人などがいます。その多くが限定公開になっていますが、そもそもその人はなぜ私に限定公開をしてくださるのでしょう?

Facebookページのように登録する場所もないGoogle+の場合、相手があなたをサークルの一員と認めてはじめて情報が届く、という側面があります。そしてそのように認められるためには、どこかの時点で「自分はこの話題に興味がある(だからサークルに加えてね)」と周囲に伝えるアクションを自分から起こさないといけないわけです。

つまり、ランダムなひととの出会いを求めつつ、出会った人同士は内緒話を楽しめる場所、それがGoogle+というわけです。

どこで何を語るか?

このように違いがみえてくると、ツールなどを使って3つのサービスに同じ内容を投稿するのは無理があることがみえてきます。

返事を期待していない場合、している場合、内緒話を期待している場合など、3つには投稿時点で差があるわけです。あなたがソーシャルサービスに何を求めているか次第で、この3つは使い分けられるはずです。

特にGoogle+のサークルの考え方や活用方法に慣れてこないと難しいと思いますので、まずは自分の趣味をそのままに投稿しながら、自分がどんなサークルに加えられているかを見つけてゆくのでよいのではないかと思います。

p.s.

このあたり、じつは11/18発売予定の「できるポケット Google+ スマートに使いこなす基本&活用ワザ 70 」(インプレス社)でもけっこうページを使ってまとめました。

いつもの3人、みたいもん!のいしたにまさきさん、ネタフルのコグレマサトさんとの共著です。こちらもあわせて、よろしければ!

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。