「モレスキン 人生を入れる61の使い方」出版記念イベントはノートへの愛で熱気に包まれた

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春からずっとやってきたプロジェクト「モレスキン 人生を入れる61の使い方 」がついに発売されました!

今回の本は、本当に「私の」本ではありません。投稿してくださったみなさん(その多くを採用することができず、心苦しかったのですが…)、取材に応じてくださった全国のモレスキンファンのみなさんのご協力があって初めて実現したものでした。この場をお借りして御礼申し上げます。

さらに申し訳ないのは、著者欄の筆頭に私の名前が入っていること。なぜなら、今回この本のクオリティをガンガンと高めてくださったのはほかでもない、二人の共著者、モレスキナリーYoko さんと、モレスキン・カウボーイこと高谷宏記さんだからです。お二人のモレスキンへの情熱に突き動かされて、なんとかここまで来た気がします。

さて! 出版日である9月9日にはそれとあわせて出版記念イベントを行いました。本の掲載者も大勢登場して、会場はたいへんな熱気となりました。### 一人一人の人生がつまったモレスキン

いったい会場には何冊のモレスキンがあったのでしょうか? この質問は聞きそびれたのですが、きっと来場してくださった50人に対して、少なく見積もっても200冊近いモレスキンがあったのではないかと思います。それほどまで、一人一人の参加者がご自身の「物語」を語りたくて来ておられたのです。

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イベントではそれぞれの章から数名をピックアップしてご紹介し、その場でマイクをお渡ししてそれぞれのモレスキンの成り立ちについて語っていただきました。旅を記録するモレスキンあり、家族を記録するモレスキンあり。一つ一つのモレスキンに人生の「物語」がありました。

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なぜモレスキンに記録するのか?

イベントでは3人のゲストにいきなり話を振って「なぜ、これほどまで人はモレスキンに記録することにこだわるのか?」について考えるきっかけも作りました。

ライフハック心理学の佐々木正吾さん(@nokiba)は自由であるようでいて不自由な、「変わらない」このフォーマットが重要であること、「なくってしまってはいけない」記憶をいれる器としてなじみのあるツールが存在することの重要性が、モレスキンの魅力につながっているのではないかとしてきしてくださいました。いわばモレスキンは Evernoteと同様に「脳」の役割を演じているというわけですね。

ジャーナリストであり、Tarosite.net管理人の松村太郎さんはイベント会場で名刺交換のかわりにモレスキンの見せ合いが行われていることに注目して、モレスキンに書かれていることがその人自身を表現していること、そして本人が手帳を開けば自信自身との対話であり、他人と見せ合うことがそのままソーシャルな対話になっていると、私自身気づいていなかったことにきづかせてくださいました。

みたいもん!いしたにまさきさんは写真家・森山大道さんの「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 」という言葉を引用して、記録は過去の自分を再発見するとともに未来の自分を予感させること、だからこそ記録は自分を裏切らない、自分自身を救うものとなりうるのだという視点をくださいました。

モレスキンの本に携わるようになって、「なぜモレスキンでなくてはいけないのか?」という質問は何度も繰り返し自問自答するものでした。その一つのヒントが、ゲストのみなさんが指摘した「変わらないフォーマット」「共通言語としてのモレスキン」「記録こそが自分を裏切らない、自分の分身」というキーワードで与えられた気がします。

やっと、スタート地点

本を二冊つくっておいて可笑しいのですが、私自身、自分のモレスキンの使い方に満足ができず、ずっと模索し続けていました。本で書いたような固定した使い方があるというよりも、さまざまな方法を試す毎日でした。

それがここまでやってきて、言葉は変なのですが「一人前のモレスキンユーザー」になれた気がします。「自分の人生の入れかた」が好きになってきました。

本書をまだ手に取っておられない方は、ぜひ書店でどのページでもよいので開いてみてください。イベント会場を包んでいた熱気がどのページからも伝わってくるはずです。

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(写真はいしたにまさきさん)

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。