あえて危険をおかすことが人生を楽しむ秘訣?

趣味は裏庭で火炎放射器を作ることという著者、William Gurstelleの講演で「ほんの少しのリスクをとること」が総じて人生に対する満足感の増加につながる傾向にあるという話題がありました。

講演では爆弾をつくったり危険を楽しんだ著名人がまず挙げられますが、ここまでいかなくても全ての人の「リスクをとる・とらない」という傾向はある連続したカーブ上に落ちていることを紹介したうえで、平均よりも1標準偏差程度の範囲でリスクをとる人の方が人生を楽しんでいる傾向が強いという結論が導かれます。

この講演、ちょっと誤解しやすいので注意が必要です。### 新しいことを試す喜び

ここで注意したいのは、起業したり、新しいフィールドに飛び込んだりといったリスクをとることは成功のために不可欠であると言われていますが、それは生存者バイアスを多分に含んでいるという点です。リスクを取って成功したした人の話ばかりを並べていたのでは、同様のリスクをとって運悪く成功できなかった人との比較にはならないという論理的な誤謬です。

なので、この講演からくみ取りたいのは、「リスクを取ることが善」ということでも「リスクを取らないと成功できない」という教訓でもなく、「安心領域を広げることは自分への満足につながる可能姓が高い」という、リスクの側からみた当然の結論だと思います。

講演では、ちょっと速度を出して運転したり、食べたことのない危険な食物(ふぐが例に挙げられていますが(笑))を試してみる、そして火炎放射器をつくってみることが挙げられていますが、どれもが「これまでやったことないことを試してみる」という類のものですから、それはまあ、リスクがどうとか言われなくても楽しそうですね。

しかし考えてみると、自分は楽しむために今までの自分を踏み越えているか? というのはとてもよい指標です。テレビゲームは楽しいですが、いくつかやったあとではゲームをすること自体はあまり楽しみを増やしてくれません。

逆に、言葉も知らない国に行ってみる、スカイダイビングなどのスポーツを試してみる、知らない人の輪に飛び込んでみるといったことなら、日常的に試してみることができます。

ブログをかくことだって、一つの未知への挑戦です。

ちょっとの心のハードルを乗り越えれば始めることができて、豊かなリターンがかえってくる可能姓がたかいものは周囲にいくらでもあります。

安心領域、ちょっと広げてみませんか?

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。