ちょっと手を伸ばしてみれば届くものについて

こう見えても風は強く波は高いのさ

ちょっと手を伸ばしてみると届くものって、案外多いものです。

今回、ひょんなことから2級の小型船舶操縦士免許をとることになりました。ほんとうにこれが、小さなきっかけと、素晴らしい偶然で。

きっかけは、娘がうまれた病院の屋上から東京湾をながめていたとき、実に気持ちよさそうに海に繰り出しているたくさんの船を見て「いいなあ」と思ったことでした。

その「いいなあ」には、暗黙の内に「自分にはできないけれども、できる人はいいなあ」という意味が込められているいることに気がついて、では実際のところ、本当のところ免許をとったり、船を借りたりしたらどれだけ費用がかかるのだろうかと調べてみたのでした。

すると、講習と実技、そして国家試験を受ければ免許はとれること、船のレンタル代金も乗船者全員で割ればばたいしたことがないということに気づいて心の中で小さな革命が起こったのでした。

こうしたときは素晴らしい偶然も重なるものです。ちょうどみたいもん!のいしたにまさきさんら、数人のブロガーがヤマハボート免許教室で2級免許に挑戦するという話を耳にして、自分も!自分も!と声を上げたのでした。

講習・実技、そして試験へ…

そこからはもう話が速いこと。11月の下旬に一日まるごとを使って学科講習をうけ、その次の週には船に乗っての実技講習です。

この学科講習はこれまで聞いたこともないような単語の連続ですし、覚えることがたくさんありましたが、講師の方の語り口もあって、不思議と一度きけばなかなか忘れない内容でした。

実技試験は船の点検のしかた、始動のしかたから始めて、始めて船に乗ったその日のうちに変針、蛇行、人命救助、更新、離岸、着岸とやはりすべてを詰め込みます。

そしてその一週間後には本番の試験というのですから、自動車の免許にくらべておそるべきあっけなさです。

試験はヤマハボート免許教室からいただいた予想問題集の問題をすべて解いて暗記していればよいので、これはもうスキマ時間をフル投入で一週間で丸暗記をしてしまいました。

ちょっとのことで越えられる壁

そうして本日、学科と実技の試験を終えてきたのですが、勉強のかいがあって先に解答が配られる学科試験は満点でした。実技はいくつか失敗したものの、落ちる気がまったくしません。海の男に(おそらく)なれそう!

今回、時間が本当に限られた中で免許をとろうと考えたのには、「テストをうけている状態」を人生に作りたい、というのもありました。

ちょっとのことで越えられる壁がいくつもあるのだけれども、**「越えよう」と考えるまではその本当の高さがわからない。**そういったものが周囲にはいくらでもあります。

知らない国に旅をしてみたい、新しい趣味を始めてみたい、自分もあんな写真が撮れるようになってみたい、外国語でしゃべってみたいといった普通な願望から、ちょっと冒険心のあるものまで、本当に難しいのかどうかは日常から一歩踏み出してみないとわからないものです。

小型船操縦士免許も、受ける人にとってはそれほど難易度も高くない、ただの手続きに過ぎません。でも病院の屋上から「いいなあ」と言っているだけだった自分には手の届かないものだったのです。

こうした、ちょっとのことで越えられる壁にもっともっと挑戦してみたいと最近よく思うのです。それが「人生を変える小さな習慣」のもう一つの形じゃないかという予感がするので。

さて、本当に合格していたかは、今週中にはわかりそうです。ここまで書いたのだし、受かっているといいな!

追伸:

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堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。