あなたのライフハックを支える7つの力

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週末のあいだ斉藤孝さんの「アイディアを10倍生む『考える力』」 を読んでいました。

「こじつけ力」で普通はつながらない話題をつなげてみせるところに「考える」楽しみがあるという話題をベースに、集中力のつけかた、考えるためのトレーニングを紹介する斉藤さんの軽やかな筆致にのせられて、ついつい読了してしまいました。

私はあまり「○○力」と何にでも「力」を付けるのは語感が良くない気がするので、今まであまりこうしネーミングをつけていませんでしたが、ブレインストーミングしているうちにライフハックにもちょっと意外なさまざまな「力」が下支えをしているのに気づきました。

今日はそんな7つの力について。

先読み力

これについては前にも触れましたが、何もすごいことではありません。皿を洗いながら「次、何をするのか」と考えてみたり、トイレに歩きながら戻ったら何をするか考えたり、常に「次になにがある?」「今日の午後は?明日は?来月は?」と考える力です。「今」よりも半歩だけ「未来」に生きるテクニックといってもいいかもしれません。。このテクニックだけで格段に無駄時間を減らすことができるのも魅力ですが、それ以上に、自分がどこにむかって行動しているかを常に意識していると習慣が手に入ります。

記録力

記憶力ではありません。「記録」する力です。どう頑張っても人間の記憶力には限界がありますし、ネットの力を駆使しても一人の人間が触れることのできる情報はたかが知れています。大事な情報だけを記録して、鮮度を失った情報は忘却してゆくための上手な記録の力がどうしても必要になりますユビキタス・キャプチャーから、ソーシャルブックマークや GMail まで、すべてが必要十分な記録のための技術です。

習慣力

ライフハックのほとんどすべては良い習慣を身につけること、自分にとって効率的なワークフローを編み出すことにかかっているといってもいいでしょう。「習慣」というと重苦しくて苦労して身につけるもののようなイメージがありますが、むしろ逆で、今まで努力してやっていたことをどのように無意識に実行できるルーチンにするかというところに「習慣力」の妙味があります。

反省力

パレートの法則(80:20の法則)で自分のボトルネックを探そうと思っても、自分自身が見えてなければ不可能です。ここでいう「反省力」は罪悪感とは何の関係もありません。自分というマシンのスペックと問題点をどれだけクールに客観視して、チューニングできるかを指しています。

決断力

GTDを試したことのある方はご存じかとと思いますが、「このタスクは2分でできるか?」「今、この時間につっこむことのできる仕事は?」といった瞬間的な判断には、ある程度「えいやっ」と自分の直感を信じて決断をすることが求められます。決断の早さと精度は、ワークフローを動かす潤滑油といってもいいでしょう。

模倣力

他人の実践したライフハックをそのまま自分の生活に当てはめられることはまれです。何かしら、最初の内は「真似る」段階が入ります。リスペクトする人を真似たり、これは使えると思ったテクニックを最初は真似して、次第に自分に同化してゆくのが、ここでいう「模倣力」です。実は私たちの行動の全てが模倣なのだということに気づくことが、その第一歩になります。

変化力

エクストリーム・プログラミング(XP)の標語である「変化を受容せよ」はライフハックにも当てはまると思います。ただし書き換えているのはソースコードではなく、自分の習慣、自分の思考パターンなのです。自分が向かおうとしている最終目標がどこにあるのか、今はわからなくても、とにかくこちらが正しそうだと思える方向に一歩踏み出して自分を変えられる力が「変化力」です。

こじつけでも「力」ととらえることによって、過不足を意識できますし、意識できるということは訓練できるということでもあります。今後もうちょっと詳しくこれらをみて、テクニックに落とし込んでみたいです。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。