[Lifehacking Diary] 一流の研究者の集中力

信じられないほどの幸運ですが、今日から2ヶ月のあいだ、世界でもトップクラスの科学者の先生と机を並べて仕事をすることとなりました。若い頃にアメリカに渡り、独力で一分野を築きあげた伝説に近い存在です。

研究者の能力の指標の一つに論文の被引用回数という、他人がその人の論文を何度引用してくれたかという数字があります。分野によって数字はまちまちですが、私たちの分野だと割と論文が多い大学教授でも 500 程度がふつうだというのに、この伝説は 10000 をゆうに越えているというのですから、おそるべき話です。

昨夜はアメリカから到着したこの先生を空港まで迎えに行き、深夜に宿舎まで送りとどけたのですが、時差ぼけを感じないのか今朝は早くから研究室の机でノートパソコンに向かっています。

私がうしろから「おはようございます」と声をかけても振り返りません。邪魔をしては悪いかなと自分の仕事を始めると、私がコーヒーを取りに行ったり、コピーをとったりなど、何度か机のすぐ横を歩いていっても、ずっと画面に集中したままで視線は微動もしません。

そうして1時間くらい過ぎた頃でしょうか。ふぁぁ、と一つあくびをかいたかと思ったら、おもむろに声をかけてこられました。

「ああ mehori さん、いたんですね。おはようございます」

私が後ろに座っていること自体に気づいていませんでした。

これから2ヶ月、この一流の人物からその超人的な仕事量の秘密を盗んで時折お届けしたいと思います。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。