Judo、あるいは最小の力で最大の効果を得る方法

BackpackBasecamp を制作している集団 37signals のブログ、Signal vs Noise の記事より。

Judo する:最小限の力で、最大の効果を得る

彼らの会社のチャットルームで使われた実際の用例がなかなか面白いです。柔道ということばを動詞にして使うセンスがなんともいえません。

「これに対する Judo な解決方法を見つけたんだ」 「複雑すぎる。Judo して済ませよう」 「そいつはちょっとした Judo だね」 「作業のモメンタムを殺さないように、ここは Judo しようぜ」 「そもそも Judo って何だよ?」 「Judo:自分に都合が良いように問題をすり替えること」 「いや、Judo = 完璧な解決方法より、十分良い解決方法で手を打つことさ」

ちょっと濫用気味ですが、意味するところはよくわかります。ようするに「KISS, Keep it simple, stupid」だとか、「兵は神速を尊ぶ」といったセオリーのあわさったものを、チャットで便利に 4 文字で言ってのけているわけですね(KISS も 4文字ですが、英単語なので誤解されるおそれがあります。その点 Judo の語感は間違えようがありません)。

講道館柔道の創始者、嘉納治五郎の柔道論・教育論を編集した英文の本「柔よく剛を制す」の題名が「Mind over Muscle 」となっているのを思い出します。

与えられた問題をど根性の正面突破で解決するのではなく、機転をきかせて近道で一本とるといった感じでしょうか。言うのは易しですが、いつでもそういうチャンスを探して、たまに仕事で Judo 決めることができたら壮快でしょうね。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。